こんにちは。今日はこちら。早速行きましょう。
何か2作品見てるような感じです。
よく言えば前半が丁寧に描かれており、そのおかげで後半その男について興味は持ち続けられます。でも逆に考えるともう少し短くして後半を丁寧にした方が謎解き的には楽しいか、と。
あらすじとしては、戸籍を交換する話です。なりすまし、ですね。前半がほっこりし、しかし悲しい結末を迎える。傷ついた人が立ち直っていくのにまたしてもぽきんと折られる。ここまででも引き付ける話ですが、ここから後半となりガラッと展開が変わります。安藤サクラさんはほぼ不要となってしまいます。すごい変わりよう。
後半はその男の正体を追いつつ自身も悩んでいく弁護士の物語となります。ただし、展開がやや急でなかなか理解しきれません。そこに持ってきてマグリットの絵です。理解不能が加速します。
戸籍交換
そこまでして、やり直すっていうのかな?続きを生きるっていうのかな?そういう人もいるんですね。お金目当てっていうなら分からないでもないんですが、そうではなく人生をっていうんだからすごい。本当になりすます。法律的になりすますなんて、僕には面倒で。
誰になるかがとても大事な気がします。もしかしたら元の自分の方がマシかもみたいなことだってあるでしょうに。でも誰かになりたいんだ。それほど自分を捨てたいんだ。僕の人生はまだマシな方なのかもしれないな。いや、きっといい人生を送れてるんだろうな。恵まれすぎてそれに気づいていないだけなんだろうと思う。結構きつい気がするけど。
仮に他人になったとしても。
戸籍交換の仲介人に言わせると「それっぽく見えないってことは、とてもそれっぽい」ってことらしい。なるほどね。前提があるからこそそれっぽくは見えないって話。
結局のところ自分が思ってるほど変わらないってことなんじゃないの?本質的な部分は変わらない。ここでようやくマグリットの絵が出てくるのです。
マグリットの絵について。
この人の展覧会に行ったことがあるんですが、すごくメッセージ色の強い絵を描く人だなと思いました。絵を使ってなぞなぞを出してくる感じ。今作に出てくる作品『複製禁止』というそうですが、誰かに肖像画を依頼されて書いたものだそうです。これにも当然メッセージがありますよね。ある人がなぜか自分の後ろ姿が映っている鏡を見ているのを後ろから描いている絵。
僕が思うに、ですが、「表面を取り繕って肖像画も何もない。後ろから見た姿だってあなたですよ。」みたいな。あるいは「鏡に映るのは虚像。正しく見たいとするならこうなるよ。」とか。どこに複製禁止があるんだ?
ところで本作では所々何かある感じで鏡に映った自分を見ている描写があります。その時はま、当たり前ですが顔が映ります。後頭部ではありません。
あ。「複製を作るのはやめましょう。だってほら、試しに描いてみたらこんなにおかしな肖像画になってしまいましたから。」ってことだ。
親ガチャ
僕、この言葉って、自分のことを棚に上げて人のせいにしてるような気がしてあまり好きじゃないんですが、この作品を見たり、読書感想文の『職業、お金持ち』を読んだりすると、あるかもしれない、って思いました。残念ですが生まれ育った、もっと言えば生まれたところが運命の分かれ目ってことはあるようです。
ハズレを引いた人があがきの一つとして選ぶ手段、戸籍交換。まだ他人事のように考えてますが、というか、僕はお世話になりたくないと思いますが仕方ないかもね、って感じです。
最後に
妻夫木さん弁護士がキャラを作って語るんですよ。弁護士ってあこがれの職業ってイメージだし、生活安定してそうだし、別人になる必要ないでしょうに、っていうか、成り代わられる方でしょう。でも、なってしまうと逆に窮屈なのかな?別人になりたい、っていうのは誰しも持ちうる感情なのかもしれません。ただ、生きるのに必死な人のそれと、余裕はあるけど悩みはあってみたいな人のそれってきっと違う。人生賭けて、と、気分転換で、有り金全部ギャンブルにつぎ込むくらい違う気がします。どういうつもりで語っていたのか、今の僕にはわかりません。生き方よりもつじつま合わせが面倒だな、と思う映画でした。そしてマグリットが気になって仕方ない映画でした。彼の作品には必ず明確な答えがありますから。僕の予想は当たったかな?
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