コーヒーが冷めないうちに:タイムトラベルはいろいろ難しいのです。

読書以外感想文
スポンサーリンク

こんにちは。今回は先日見た映画『コーヒーが冷めないうちに』の感想文です。すごく有名な人がたくさん出てまして、期待が大きかったんだなと思いました。・・・ということは?今回もバンバンネタバレになってしまうので、気にする人は先に作品を見てください。

ちょっと変わったタイムトラベルの設定です。

 タイムトラベル物の作品が好きな人だとあれ?って思うのではないでしょうか、この作品の設定。

 通常、というかよくあるタイムトラベル物は、それが目的になるのですが、『過去の出来事が未来に影響を与える』ことになっています。だから主人公が過去の不都合を変えに行ったり、逆に過去を変えられるのを阻止しに行ったりするのですが、この作品でのタイムトラベルの特徴は『過去で何をしても未来は変わらない』ということ。変わらないのです。おまけに別のルールを付け加えてタイムトラベルをかなり限定的にすることで、難しいネタをうまく味付けしています。

周りが変わらないなら自分を変えればいい、という作品。

 感想文的に、作者の言いたいこと的に主題を考えるならおそらくこういうことになると思います。この作品だと過去は変わらないし、過去の出来事が未来の事象に影響を与えることもない。過去を見た自分が現在以降をどう生きていくか。ま、こう書くと「未来をポジティブに生きて候、その方がきっといいことありますよ」と続くのが自然な流れです。

 また、登場人物が最後に呼びかけるようにつぶやくというか、はっきりカメラに向かってしゃべる、というのはわざとらしさがまた新鮮な感じを出してくれています。実際、それぞれのエピソードがどれも良い話に仕上がっているし、すごく素直なのでいやらしさとか説教じみた感じとかが軽減されていると思います。

 ただ、最後のヒロインのエピソードはねぇ…。

運命論、聞いたことありますか?

 ヒロインのエピソード行く前に軽く考えておきましょう。

 多分ちゃんとした議論なんですが、勝手なネーミングだったらごめんなさい。運命は変えられるか変えられないか、って議論です。

 はい?って方のほとんどは運命は変えられる派だと思います。運命なんて逆らってなんぼじゃ!みたいな。僕は逆、運命は変えられない派なので、ちょっと怪しい話になりますが、読んでください。

 僕にとって運命というか人生というか、っていうものはもうすでに映画のようなものとして出来上がっていて、命というか、時間を使ってそのフィルムを消化していっているんだと思うのです。

 運命に抗う、その行為自体も組み込まれて映画になっているわけ。だから、運命だってあきらめて自暴自棄になるのもそれ自体運命だし、運命を変えようって試行錯誤するのもそれ自体運命ってわけです。

 自分の意志で色々やっているつもりの人生が、もっと大きなくくりから見ると実はやらされている。人生は1本の映画のようなものなのです、ということです。伝わったでしょうか?人生観については他にも例えがありますがまぁ、それは別の機会で。

 この作品もおそらく運命は変わらないという考え方を踏まえて書き始めた?んだと思うんです。なのに最後に運命を変えよう、みたいな流れになっていて僕にはそれが何だかなーって思ってしまったというわけ。

さて、考えてみましょう。

 最後のエピソード、ヒロインのかずが未来から来た娘にコーヒーを入れてもらって過去に戻り、お母さんと話をしてくるという話です。

 かずが過去に行くにあたり、旦那さんから「戻ってきてね」みたいなエールの手紙をもらって旅立ちますが、よく考えて。未来から来たのは娘だって、断定こそしていないもののこの時すでに分かりきってますよね、ってことは、かずが戻ってくることが確定しているわけです。この作品中、タイムトラベルで事象に与える影響はないのですから、娘が来た=かずは幽霊にならず将来過去に戻る娘を産む、ということになります。

 ちょっと冷たい言い方になりますが、旦那さんが励まさなかったとしても『絶対に』かずは戻ってくるし、産まれてくるこの性別は『絶対に』女の子なんです。作者が作ったルールなんですから仕方ないですよね。

 さらに言ってしまえば、娘を過去に送り出すことを決めたあたりでかずの帰還は決まってしまったのですから、「帰ってきてね」よりもむしろ「じっくり話しておいで」の方が良かったんじゃないかと思うのです。

 え?じっくり話して帰ってこれなかったらどうするの?って?だから『絶対に』帰ってくるんですよ、娘が手紙もって来るんだから。過去が変わってはいけないのです。これが通常のタイムトラベル物との違いが裏目に出てしまった部分で、僕は盛り上がれませんでした。

 っていうか、先の『運命』、感じませんか?あまりにもぴったり来たのでびっくりしてしまいました。

運命が変わらないものならば。

 さて、ここからが今日の核心です。それにしても、こういう感じです、読書感想文って。本編の一部を切り取るだけでも結構書けるもんでしょ?毎ページ毎ページあらすじ書いて主人公の気持ちに賛同する必要なんて全くない。思ったことをじゃんじゃん書いて何でそう思ったかを何で、何で、何でって掘り下げればいいんです。これを2つ3つ繰り返せば原稿用紙5枚は余裕、むしろ足りないくらいだと思います。

 はい、話を戻して。運命が変わらないっていうと、どうしてもネガティブな感想につながりそうですが、僕はそうは思いません。これ、意外かもしれませんね。

 僕はそういうわけで運命は変わらないと思ってますが、でも、なるようにしかなりませんを差ほどネガティブに捉えてもいません。がんばって何とかなるときもあれば、それよりもっとがんばってもどうにもならないときもあります。

 だから迷ったらとりあえず精いっぱいやっときゃ良いんです。結果は決まってますから特に心配することはありません。人生が盛り上がらなくなっちゃう?それも心配いりません。タイムトラベルしない限り、確定した未来を見ることは出来ないのですから。

コメント

スポンサーリンク
テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました