読書感想文 出版禁止:多分もっとも正解な考察。だと思う。

読書感想文
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 はいこんには。これ、知ってます?っていうか、昔テレビでやってた『放送禁止』ってシリーズ知ってますか?ま、読み終えてみると、あれはあれ、これはこれ、って感じだったんで知らなくても良いんですけどね。早速行きましょう。

前提になるルール説明

 このシリーズを楽しむためにはルールがあります。

 普通に読んだり、テレビなら見たりしてればそれはそれとして(偽)ドキュメンタリー作りました、みたいなものになっていて、こちら自体の出来はそこまで大したものではないのです。注意して見ないとそれで終わってしまいますから気を付けましょう。これで終わりにして「つまらなかった」って当たり前でしょ!ちゃんとこれから書く説明見てね。

 そういうわけで。このシリーズには必ず裏のテーマ、っていうか、こっちが本当の話、っていうのが隠されていて、それは本編中に散らばっているヒントをつなぎ合わせて自分で作るんです。フロムってゲーム会社を知ってれば、少しあんな感じ。アイテムの説明とかからあらすじを作る、みたいな。知らないならそういうことですってことで納得してください。この本も水面を鏡みたいにして景色を写し込んでいるでしょ。でもよく見ると何か違っていて、真実はそこにある、みたいに読む話です。ちなみに本作の表紙については上下逆さまになってますね。上が水面に映った鏡像。下が本物。でも、完全な鏡像ではなく、時間的なずれもあるようです。下の家の前には誰かいるし。階段の手すりも違うし。他にもあります。窓とか。もうどうでもいいけど。間違い探しみたい。

 とにかく1冊で2周は出来る、お得な本ですね。っていうか、そういうテレビ番組で面白かったです。今作は・・・どうでしょうか。 

そんな本なんですが

 今作は本としては第1弾だと思うんですが、テレビシリーズの出来を知っているとそのクオリティを求めてしまって、正直、そこまでではなかったかな、と思うのですが。読み込みがたりなかったかな?

 でもなぁ、表も裏もよく分からない感じだったんだよなー。裏ありきで読んでしまったのが良くなかったかな。結局裏の裏は表、みたいに終わったのが何とも。

週刊誌が出来るまで、を知る。

 この本での収穫はこれですね。何気に。僕、色々な仕事に興味があるんです。僕の時代にキッザニアがあったら大変なことになっていたと思います。ほんと、仕事選びって難しい。でも、誰だったか偉い人が言うには仕事は選ぶんじゃなくて、出会ったそれを一生懸命やることなんだと。ま、こっちは別のカテゴリーなんでこの辺で。

 本作では週刊誌が出来るまでの過程が分かって勉強になりました。おいおい、ミステリーはどこに行ったんだ?上に書いてますが、こっちは腑に落ちる仮説にはたどり着けなかったものの、一応答えは出しましたよ。では行きますか。

表の話。

 作者が知人に誘われてとあるルポタージュを読みますが、これがとても興味深いものだったので作品にしてみました、というもの。すでに物語が始まってますからね。そういえば日付、『某日』って書いてあるけど所々で『8月20日』のハンコ、出てるじゃん。これ、ミスリード?とりあえず、例のルポタージュ、中身に行きましょう。

 主人公若橋呉成が、とある人(ネタバレですが本事件?の依頼主)に依頼されて、結構古い事件を再検証することになります。人気放送作家?の心中相手で生き残った愛人新藤七緒にインタビューを繰り返し、心中事件の真相に迫る、というはずだったんですが、大変なことになってしまいました。なんと若橋が新藤を殺害、その後刑務所で?拘置所で?どっちでもいいか、で自殺してしまったのでした。という話がありました。

 作者は残された若橋の原稿を読んでいく中で気になる点を見つけたんですが・・・。というお話。ね、そのまま読むとこれだけなんです。ここまでの説明には出てきてませんが、いわゆる愛憎劇。表のストーリーとなります。

 さて、ここから読者の皆さんがいつも通り、本当の真実に辿り着けるか、がんばりましょう、と。

『アナグラム』

 ある言葉(単語)をバラバラにして再構成して別の意味を持たせるものだそうです。今回はなんと『若橋呉成』と『新藤七緒』。これはよその考察サイトさんで良く出てくるのですが、僕はもう一つ『世界(本文中では『セカイ』とカタカナで表記)』をあげておきましょう。これがみなさんスルーしてたみたいなんで。って、僕も仮説ですが偉そうなことは言えませんが。

 さてアナグラムです。『若橋呉成』は『わかはしくれなり』→『われはしかくなり』→『我は刺客なり』。そうなりか。次、『新藤七緒』は『しんどうななお』→『どうなしおんな』→『胴なし女』。結構えぐいですね。ラストは大活躍のインタビューがありますが。そして僕のあげてた『セカイ』。これは本文中では熊切により『セカイを敵に回しても』みたいな感じで書かれてたはずなんですが、『セカイ』→『いかせ』→『生かせ』。うーん、先を読むと太宰の例や正妻の話などもあり、遺書を読んだ人へのメッセージと取れなくもないけど、結果的に死んでしまっているので難しい。ただ、これが当たりだと黒幕は正妻だったことになりそうです。

 『生家、成果、セイカ(人名)』?ってのも考えたんですがこれはないかな、と。世界ではない何かを敵に回すかもしれなかったってことだし、天(この場合はおそらく神湯)に背いてっていってるし、ってことでなくはないけどだから何?っていうのがすっきりしないので。

 ついでに分かりすぎて誰も突っ込まないので。『カミュの刺客』→『神湯の刺客』。作者的にはこの辺りから始めてみてねー、ってチュートリアルみたいなものだったのかもしれません。

アフターファイブ。つまり、『誤字』の後。ってダジャレかい。

 これに気が付いて裏シナリオが開始していくんですが、誤字が2か所あって、ついでに自分の使命を思い出す、ってところ。誤字は『視覚の死角』→『刺客の刺客』となり、おやおや?、ってなっていく、というのが一般的考察サイトさん。

 でも多分違う。『刺客の資格』。っていうか、『シカク』部分は誤字の1か所分とカウントしてて、もう1か所は自分自身に与えられた『シメイ』なんです、本当は。『氏名』なんて考えないでしょ。自分が刺客だってことに早く気づけ、ってことは考察してるみなさんと大筋同じですけどね。

 高橋は、そしてそれ以外にも出てきてますね。『目に見えるものがすべてではない』。これ、気になります。ここから考えると『視覚の刺客』なんて考えも出てきます。目で殺す、みたいな。そういえば、新藤七緒に「見たくありませんか」のセリフを聞かされる前にも見つめられてたな。お?もしかして?なんて。間違い覚悟の僕の仮説につながります。

真実の話。

 ネタバレ行きますよ。今更ですが。

新藤七緒は大切な人に害をなす熊切に刺客として近づき、心中を偽装し殺害した。ただし、カミュの刺客ではない。

若橋呉成は七緒をターゲットとした、こちらこそがカミュの刺客で、七緒を殺害した。

はい、ここまでが考察サイトさんで見かける一応の裏の話。でもあっさりしすぎてるな。

では、いよいよ本気出していきますか。もう少し深く読むよー。っていうか、妄想入るよー。

さて、本当の真実をお見せしよう。キリッ。

 見出し大きく出ましたね。でも、僕こういうの好きなんですよ。好きに書かせてね。

まず、一応の裏設定は間違いない。いや、間違ってはいない、が正しい。

ただ、若橋は刺客として新藤七緒を殺したのではないっていうのがとってもとっても大事なポイントです。これは、若橋と七緒の心中だったんですよ、っていうのが真実です。

 っていうのも、本文中で若橋は七緒に言われます。「あなたも見たくありませんか?目には決して見えない、人の心の中を。」これ、心中しようって言われてるんです。七緒が若橋を愛していたのは本当だし、若橋の方ももちろん、だし。『心』の『中』だし。っていうか、このセリフが心中のトリガーだったんです。あなた『も』ってあたりで過去にも行ったことがありそうだって予想が付きますし、では誰に?って言うと熊切でしょう。

 そう、催眠術。この作品が催眠術ってあるよ、って話なんだとするとそれもしっくりきます。というのも、高橋という神湯のシンパの方にあったときにもそういう描写があり、これが若橋のカミュの刺客の復活のトリガーだったのだと思います。若橋はこの後カミュの刺客として覚醒するのでした。とはいえ、新藤七緒への愛の前に揺らぎまくるのですが。違う2つの催眠術にかかるお話でした。

 若橋は七緒に惹かれていって、楽にしてあげたい気持ちで、でも刺客なので、ってことで葛藤がとは言う割にあっさりと七緒を殺してしまうんですが(その後の首を斬るあたりについては前半に神湯信者のセリフとして「熊切の首を借る」なんてそのままの表現がありますので、刺客モードが強く働いていたのでしょう)、それでも七緒と心中します。好きだから。愛しているから。だから心中したんです。殺害、という意味では刺客としても心中相手としても同じではありますが、若橋からしたら違いますから。として、彼の死は自殺。理由は心中の完成です。

 途中の死体処理の方法についてはカミュ系の催眠術のおかげでパクパク作業が進んだようです。で、精神に異常をきたしを理由に生還しようというのがカミュ系の計画だったようですが、七緒系催眠術にもかかっている若橋には割とどうでも良かったのではないかと思われます。むしろ、死を望んでいましたし。

 心中の完成って意味では、彼の本名ってことになってますが『□□』ってなってたでしょ(?ここ変ですね)。4つ出てくる箇所があるのは御愛嬌。刺客2人はずっと一緒だよ、って。『刺客の刺客』って読むのが正解かもしれませんが、僕は『刺客と刺客』を推したい。っていうか、作者さんが参加してる感がありますね。

 許されない愛の末の心中話なのでした。物語の最初の心中の話は無意味ではなかったのです。

 若橋の妄想交じりのるポタージュのおかげで熊切の死の詳細は神湯に伝わったでしょうし、そのきっかけとなる熊切の正妻は死んでしまうし(もちろん他殺。本人に補足情報等を聞いてからになるでしょうけど、偽装された事故に決まってますよね)、この事件の関係者の一掃に成功し、ミッションコンプリートで黒幕は闇に消えていくのでした。・・・ってあれ?じゃ、何で今更作品化する(劇中でね)こととなったのでしょうか、作者さん。知人って誰?

 僕の仮説ですが黒幕はもしかしたらこの知人(神湯のシンパ)。もしくは実は作者さんがシンパの一人だった、という立場で参加してるかもしれませんね。間違いない事実です、とか言う役として。いや、利用されてる?ここまで来ると考え過ぎか。

 あと『児戯』は、若橋からこの知人に向けた報告でしょう。簡単すぎるといった考察サイトさんが多いのですが、簡単にしないと報告にならないでしょ。と、僕は考えました。事前にルールを決めておいてそれにのっとって報告してました、で良いと思います。作者さんがシンパ側だった場合は他にも何か隠してる、とか最悪ルポタージュそのものがでっち上げなんてことも考えられますが、そこまでやってしまうと収集つかなくなりますからね。せいぜい何か隠してる、まででしょう。

終わりに。

 というお話でした。どうですか、少し深くまで潜れました?大胆過ぎる裏でしたでしょ。正解が正解って書かれてない分、自分の想像で裏の話は作れます。そういう楽しみもあるのでこのシリーズはハマるんですよ。

 でも今作については第1作ってこともあって作り込みがどうかな?って部分もありました。ラストの作者の解説パートはうーん、いらなかったか、いや、今後を考えるとやっぱり必要かな。こういう構成の本です、楽しんでね、みたいな。

 こちらもシリーズで何冊か出てますので、時間が取れたら読んでみますか。何回か読む系の本ですからまとまった時間が欲しいんですが。ではまた。

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