こんにちは。今日は読書感想文でも僕としては結構珍しい?大逆転な話を書きたいと思います。というか、だから読書は楽しいの、みたいな話になるのでしょうか。では早速行きましょう。
そういえばタイトルから暗示していたんだろうか?
今日のネタはこちら。よくある?昔話の解説から現代人へのアドバイスみたいな本です。こういうの、ありがたいですよね。
まず、膨大な量の昔話からそれっぽいのをチョイスしてくれる。いつもなら自分で選びたいタイプですが、とにかく多いですからね、選んでいただけるのは助かります。そもそも僕は昔話って大好き。まんが日本昔話とか、懐かしいわ。
そして、解説付き。昔話の時はこれがとにかく役に立つ。というのも、昔話というのは古典文学なわけですが、ちゃんと考えようとすると現代とは常識的な部分に大きな差があることが少なくないのです。昔話の時代はこういうものの考え方をしていた、こういうものが良いとされた、こういうものが面白かった、というのが現代のものと違うため、現代の価値観のまま読んでもそれが分からないことがあります。
そこで解説の出番です。もう軽く外国語の日本語訳だわ。古典の文法ってわけじゃないよ。それくらい意味が通じない、ってことです。解説があるおかげで意味を現代ベースで考えることができるのはありがたい。で、今回の感想文につながるのですが。
ものの見方が、っていうか、珍しく解説がずれてるんじゃないかと思われるものがありまして。もちろん僕の誤解ってことも大いにある。でもだとしても僕の解釈、結構いい感じって話。ものの見方が、変わった?違いを感じたの方がすっきりするかな。
問題の昔話は【65】二人の禅僧 というもの。
本文のコピペはだめかもしれないので大雑把な流れを。
二人の禅僧が川を渡ろうとしていた時、近くで困った様子で川を見つめている女性に気が付いた。聞けば川の流れが速くて渡れないとのこと。
そこで先輩の僧が彼女を背負って川を渡り、彼女は礼を言って去っていった。
その後後輩の僧が、自分たちは女性に触れてはいけないのに、と先輩の僧を責めた。で、上にも報告すると言ったところ、先輩僧は答えた。
「お前の言うとおり、確かに女を背負ったが川岸で置いてきたぞ。お前はまだ女を背負っているようだな。」
以上。これについて筆者の人は規則だからと言って困っている人を助けないというのはまずい、という解説をしています。
おわかりいただけただろうか・・・( ;∀;)
僕の解釈ははっきり違います。多分これ、原文(元の古典)にはあるんじゃないかと思われるんですが、女が幽霊じゃないかと思うんです。向こう岸に渡れずに亡くなった女性の霊。で、先輩の僧はそれを分かっていたから背負った。女の『人』に触れてはいないから特にためらわずに背負ったんだと思います。そして、女性の霊の未練をはらすことで成仏させる、という僧としての役割を果たした。
でその後、後輩からの警告に対し、答えるわけです。「お前はまだ女を背負っているようだな」って。女に触れてはいけないにこだわりすぎたから結果としてお前はお前の言うところの『女に触れる』になってしまったし、僧としての役割も果たせなかったのだ、と。
もはや別物でしょ。女の霊が後輩に取り憑いたままだって、後輩もそういう意味では女に触れたよ、むしろまだ触れてるよって、落語みたいなおちの話でした、ってね。
我ながらすっきりしてませんか。当たりかな?ところで、女の霊はつまるところ成仏できたのでしょうか、できなかったのでしょうか。
人によって感想も考えも変わる。でも間違いでもないでしょ?
読書、特に読書感想文ってこういうのが楽しいのです。全く違う感じ方だけど気づいてしまった。たぶん自分は間違ってはいない、って確信した時。自由を感じます。
そして上の僕の感想でも結局女の霊は~ってところについては色々な意見が出てくる気がします。そういうのも感想文の楽しみだと思います。
感想なんだから誰が何を言ってもいい(もちろんあまり何でもかんでも言ってしまうと、それはそれでまずいこともあるので、一般的に許されそうな範囲で、っていうのはありますが)、というのを久しぶりに感じました。
読書感想文として文量を考えるともう少し何か書いておかないといけないかもしれないので成仏したのかについて考えてみたいと思います。
少しオカルトが始まったか?でもサクサクっと書いておくと、つまり成仏『していない』と思います。もちろんこれは寓話だからですが。ま、ホラー映画とかでこの展開ってよくありますよね?主人公たちはどうにかこうにか成仏させたように思えたが後日誰かがそこに行くと・・・っていうエンディング。そんな感じ。
大真面目に考えると、先輩僧に向こう岸に渡してもらえたところで成仏して欲しいところです。お礼まで言ってまだ成仏しないって何だよ、と。でも後輩が背負っているのなら残念ながら成仏失敗。でもまだ望みはあります。
さて、どうしたら良いのか。僧たちがやっていないことがありました。念仏供養。女の幽霊はもはや成仏の仕方がわからない、生きている人に例えるならどう生きていけばいいのかわからない状態のようですので、道を示してあげることがヒントになりそうです。で、霊に対してだから念仏と。これでたぶん大丈夫でしょう。
はい。そんなわけでちょっとあげ足取りみたいになってしまいましたが珍しいタイプの読書感想文でした。とはいえこの本、読んでいてなるほどと思わされることがたくさんあって、大変励まされました。
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