こんにちは。今日はこちらの感想文を。何気なしに見たんですが、良かった。なんともかわいそうな話です。そして、身につまされる話です。いつも通りネタバレ注意です。うん、見てからまた読んでいただけると良いかな。でも、見てもらえるように書くっていうのもがんばりどころかな。
マスコミの仕事って気を遣う・・・のかな?
さらっと入り口を書いときます。ネタバレ注意、ラストチャンスです。それほど僕も気を使ってしまう。うん、でももう行くよ。
ある日夜遊びに出て行った息子が帰ってこないお宅がありました。そのうちテレビで少年犯罪のニュースが流れ、お宅の息子さん、犯人じゃないの?という目で見られてしまう一家。息子は帰ってこないし連絡取れないしで事態は一向に進展しません。そのうち、被害者がお父さんの仕事の取引先の孫だと分かり、お父さんは取引先に見切りをつけられ、娘は高校受験の志望校がこの手のごたごたにうるさいらしく見通しが暗くなってきました。はてさてこの先どうなってしまうのか?
タイトルが良かったと思います。
望み。短い。シンプルですが、このタイトルのおかげで僕はぶれずにこの映画を見ることができました。みんなの望みは何なのか?加害者になってほしいの?被害者になってほしいの?っていうのをずっと考えながら見てたんですが、するとこの作品、とてもよく分かるわー、って作品になるんじゃないでしょうか?
あ、でも結局お父さんの望みは確定しきれなくて僕なりの答えになってしまうんですが、うん、お父さんから行こう。
望み、結構シビアです。
と、見出しで書いたものの、お父さんは特に望んでいない、というか、敢えて望みという形で表現するなら『事件にはかかわっていないでほしい』だと思いました。この期に及んでです。でも自分でも思うところがあって、そういうもんかもしれないな、と。よく言えば最後の最後まで信じてるわけです。でも信じすぎているせいで現実離れしてきている。で、根拠がないなら事件にかかわっているとは言えない⇒無関係だと思う。この半面、逆に物的証拠みたいな強烈な根拠が出てくるとそれをまた信じ切ってしまうという。あぁ、わかる。わかるわー。物事に一喜一憂しないように、ってがんばるとこういう時逆に苦しいよね。
次。お母さんの望み。生きていてほしい。生きてるならたとえ加害者だったとしても構わない。おばあちゃんと話したこともあり、お母さんはこっちの覚悟を固めて向き合います。とはいえ最後には、その後を考えると、って弱音を吐いたり。これだからって、という人もいらっしゃるかと思いますが、それがこの人のチャーミングなところなんだと思います。
次。妹の望み。被害者であってほしい(死んでいてほしい)。お兄さんはお兄さんとして好きにやってそういう結果を招いたわけで、それを私に結び付けないで。加害者家族のその後は色々悲劇的に聞いているのでそういう風になりたくない、と。ま、言うだけあって真面目な優等生で作品開始当初からすると本来の性格は明るく社交的でもあるかと思います。確かにこの子がいわゆる加害者家族にされてしまうのはかわいそうです。
マスコミ批判になってしまいますよね、こういう映画って、やっぱり。
そんなご家族はひたすらお兄さんの帰宅を待っているのですが、状況は悪化の一途をたどっていきます。あらすじ追いかけてくのはあまり好きではないのですが、この先少しあらすじ踏まえて書いていきます。
うーん、僕らがニュースで見てる中継って映される側からするとかなり迷惑なんだな、と。仮に被害者側だったとしても『ほっといてください』っていうのはかなり本音なのね、って感じです。車に落書きされたり壁に落書きされたりって、あんたら誰がやってるか見てたでしょ?止めないの?って思います。
報道は中立、ってどういう意味なんでしょうか?「これ書いたの、どこどこの誰さんですよ」って教えてあげて中立ではないかと思います。「疑わしい人の家に落書きして、どうですか?正義感は満たされましたか?今の気分を聞かせてください」って、それを放送して、中立ではないかと思います。自分らがそこに張り付いているせいで、その人なんだって確信させてるでしょうに。中立だから干渉しない、っていうのは、うーん、難しいところではありますが、言い訳だと、ここでは言いたい。
結局は自分のさじ加減で正義だ中立だと言っているだけなんです。もちろん、それ自体にはある程度説得力もありますよ。でもね、こういうの、特に正義って、その立場によって全く変わってしまうことを報道を見る人が気を付けなくてはいけないと思います。情報を発信する以上、その人の見方が入ってしまうんです。ある方向からは正しく見えても逆の方向から見るなら悪い。戦争は正義と悪がするとは限らないんです。立場の違う正義と正義がぶつかることだってある。優しい人同士が争うこともある。正しく見えるそれが絶対に正しいわけではない。
マスコミ関係の方、これ、フィクションですよね?ちゃんと現場の掃除とかしてますよね?
お父さんは小刀に振り回されます。
お父さんはお兄さんの小刀を取り上げて隠しておいた、という事実で何とか自分の望みをつないでおいたのでしょうけれど、後半、隠しておいた小刀がお兄さんに奪還されていたことを知ります。ここからが本作のクライマックスだと思います。お父さんはお兄さんが加害者かと思い始めるのですが、将来に向けて勉強している証拠を見つけて本当に加害者なのか?と疑問に思い、お兄さんが隠していた小刀を発見し今度は被害者だと確信します。確信です。この一連の流れがすごくよく伝わってきました。
お父さん、よく息子を信じてあげました。えらい。それに比べて例の取引先の社長さん方、そんな謝り方で済むんでしょうか?自分らの怒りってそんなものだったんでしょうか。見てる限りではかなり怒ってたよ。疑いの段階なのにあれだけボロクソにたたいておいて、真相が明らかになって謝る段階になるとかなりトーンダウンするんですね。最近親方と呼ばれる人たちが減ってきたのもうなずけてしまう、なんとも情けない親方たちでした。被害者の関係者、としてはこんなものか、とも思いますが。
こうして事件はお兄さんが被害者として幕を下ろし、一家はその後を生きていくのでした。となるのですが、取引先の社長さんとはその後どうなっていくんでしょうか?やっぱり取引しなくなるのかな?それとも従来の関係に戻るのかな?はたまたこれを機に新たな関係で取引するようになるのかな?視聴者としては何を望むかなー?親方たちにもチャンスを上げたいから、心を入れ替えてお父さんの仕事は特に頑張るようになりました、が大団円でしょうけど、今作みたいな場合、やっぱり取引はなくなり、その上で親方たちは滅びてしまう、それはよそでも似たような早とちりの大暴走をしていたから、みたいな方が良いかも。
今作を取引先の社長さんの立場でスピンオフ、とかあったら見てみたいです。
そういうわけで。
知らなかったで済まないことってあるし、完全に一方的なものはそうそうないので、特に今後が変わってくるような大事な決断においては早とちりは厳禁です、という映画でした。( ;∀;)
というか、普段から疑われるような暮らしをしないのが家族のためにも良かったんだよ、お兄さん。という映画でもありました。
そして、みんな望むことはそれぞれなんだよ、という映画でした。
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