読書感想文 葉隠 : ついに来たり。でも・・・

読書感想文
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 はいこんにちは。きっついわー。例の体調の不良のせいで近年まれにみるきつさ。だるさ。頑張ろうにも頑張れない。っていうか、頑張らない。負荷のかけ方に気を付けることを頑張る、みたいな。

 そんなこんなで休みがちなんですが、会社にはお許しをいただいています。前のことがあるからでしょうか。とにかくありがたい。何かの漫才かな?で、この年になると何だかんだで月の半分くらい体調不良なんだって言ってましたが当たってるわ。

 しかししかし、僕はそれでもちまちまと読書を続け、先日とうとう、『葉隠』読み終えたのでした。やったー。でも長かったよ。

どういう本かというと

 『武士道とは死ぬことと見つけたり』のあの本です。では、そのほかは?長いんでしょ?

 はい、長いんです。そして、多分武士道であることには違いないのですが、おそらくみなさんが思っているよりもビジネス系自己啓発本です。そう、昔の地方公務員の心得、って感じだったんですよ。現在そんなものがあるのかは知りませんが。

なんとなくさ。

 イメージは武士が戦いにおいて、必殺技の使い方、とか、最期となったときの逆転の一撃について、とかが書いてあるものだったんですが、かなりビジネス的だった。そして説教じみていた。処世術の本でした。

 ちょっと肩透かしだったというか。武士といえど平時は人なのです。

読んでて終始感じていたことがあります。

 これ、会社の部長とか定年する人とかが後継者をさしで飲みに連れてって話すような内容だって思いました。

 ただし、そういう部分が生々しい。筆者の体験だ、また聞きだって出てきますが、その辺正直なので臨場感が違います。そういう意味で歎異抄に近い。ただ、現代的に言うなら『サラリーマンの鑑となるために読む本』。さらに言えば先のとおり地方公務員(藩だからね)の心得、みたいな。ちょっと違うんだよね、思ってたのと。

社内での駆け引き、根回しの参考書

 こういってもいいかも。そしてこれが定年前のさしのみを想像させるんでしょうね。

 武士といえど結構やってるのです。飲みニュケーションっていうか、そういう相談。駆け引き、根回し。悪いっていうんじゃないけど、拳で語るとか刀で語る、って想像とは真逆です。こそこそやる。そのやり方を書いてくれてます。「じゃ、そういうことでおまえら、うまくやっていくんだぞ」という親心みたいなものすら感じます。給料(禄)についても結構出てきますよ。

ところで、夏の終わりにちょっと怖い話。『化け猫』はこの藩の話です。

 みなさん知ってるでしょう、『化け猫』。最近某鬼太郎でシーズンを追うごとにどんどん美少女化しているあれじゃないですよ。あれは『猫娘』、別物です。あんどんの油をなめて・・・って昔話のあれの方です。

 あの猫、『なべしま』っていうんだよなー、って記憶していたんですが、何となんと、この葉隠れの鍋島藩の話で、しかも多分時代が近いかかぶってるかしてます。すごい。

 ま、武士道とは関係ないので葉隠れの中に特には書いていないようですがなかなかすごい話ですよ。猫によるかたき討ちの話。実際のところは藩主の権力争いだったようなんですが。よかったら読んでみてください。

 っていうのもあれか。最近更新が遅いお詫びにさらっておきます。

 時は江戸時代、鍋島藩は2代藩主光茂の時代だったそうです。殿様が家来(龍造寺だったかな?)と碁を打っていたんですが、この家来、碁がめっぽう強い。勝てなくて怒った殿様はお手打ちに処したそうな。今でいう死刑です。接待の難しさをもろに出した話ですね。冗談じゃない。

 家来の家では奥さんが旦那さんの帰りを今か今かと待っていましたが帰ってこない。飼い猫なべしまに「帰ってこないねー」とぼやくとなべしまはどこかに行ってしまい、しばらくすると主の首を加えて帰ってきたそうです。ここで奥さんはお手打ちのことを悟り、自らも自刃します。そしてなべしまに「私の血をすすって仇をとっておくれ」と頼みこと切れ、なべしまは血をすするのでした。

 しばらくしてお城では妙な噂が流れ人々は体調不良になり、殿様は悪夢に苦しむようになりました。実はこれ、鍋島がお城の侍女を殺してなりすまし呪っていたのでした。すごいね、この猫。

 しかしある時、有名なシーン、あんどんの油をなめているところを家来に見られ、映し出された影から正体がばれ、切られて逃走、最期は主人の墓で死んでいるところを見つけられるのでした、という話。聞いたところによるとこの時代のあんどんの油はいわしからとれるものが安いということでよく使われていたのだとか。そりゃ猫だもん、行っちゃいますよね。

 化け猫の話はほかの藩でも出てきますが、とりわけ有名なのが3つあって、ここのはそのうちの一つなんだそうです。

というわけで。

 葉隠は思いのほかビジネス書でした。もっと体育会系な本かと思ったのですが、良い社員になるには、っていう、社員教育マニュアルだったという。そうね、自己啓発っていうより教育マニュアルだね。

 そうだ、この本にも「最近の若いもんは・・・」的なことが書いてあり、お小言ってやっぱりこれか、と思いました。古代ギリシャから言われ続けてるらしいですね。

 でもこれって、時代が進むにつれて便利になってきたから人がだめになった、っていう、道具の進化を認めているし、逆にさかのぼっていけばずっと昔は何でもできる人(=神様?)がいたってことになりそうな気がするし、ある程度意味あるかもしれませんよ、年寄りの負け惜しみってだけでなく。

 そんな、期待とはちょっと違うけどいくらかためになる本でした。何より、読みたい本を読んだ、ってことが達成感を与えてくれた本でした。

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